★カナダ発ハードバップ推薦盤！Barry Elmes Quintet / The Five Minute Warning

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CORNERSTONE RECORDS CRSTCD115
フィリー・ジョーを思わせるドラムが荒れ狂い、ツボを心得たベースが音楽を絞めてかかる。黒人を思わせるようなリズム陣をバックに、トランペットとサックスが、エネルギッシュにブロー。
カナダ発ハードバップの推薦盤！

＜ライナーノートより＞ステレオのスタート・ボタンを押すと、飛び出して来るのは、タイトでドライなドラムのリズムと特徴あるメロディーを指でひっかけるベースの低音。その二つが見事に折り重なり、ブルーな空間を作り始めるや否や、テーマを奏でるトランペットとテナーサックスの二重奏。この雰囲気は、昔も今も変わらないジャズの醍醐味である。
　このアルバムが録音されたのは、2001年5月、カナダはオンタリオ州、カレドンという小さな街。大都市トロントの近郊の街で、五大湖の一つ、オンタリオ湖の湖畔からもそう遠くない。カナダで最も緑の多い街とも言われるぐらい、黒いジャズと何の関係もないように思えるこの街で、レーベルを運営しているのがこのアルバムの主人公、バリー・エルムズである。寺島靖国氏も近著で取り上げ、日本でも知名度が上がりつつあるピアニスト、リチャード・ホワイトマンをプロデュースしたりもしているレーベル・オーナー。その一方で、ドラマーでもある彼が、自らのクインテットを率いて録音したのがこのアルバムだ。ドラマーとして積極的に録音を敢行しているエルムズの代表的作品のひとつと言えるだろう。というのも、ぎんぎんのハードバップ・ジャズに仕上がっているからだ。
　全曲オリジナル。日本でも無名の彼が全曲オリジナルでやってしまう程危険なことはない。下手すると誰も見向きもしないだろう。ミュージシャンがプロデュサーを兼任すると、プロモーションのことは一切気にせず、というよりも、やりたいことをただただやる、そういうアルバムが出来上がってくる場合が多い。このアルバムも例外ではないだろう。しかし、そのやりたいことがうまく決まった！このアルバムはそういうアルバムなのである。全曲オリジナルだが、どの曲もハードバップという形を演出するにはもってこいの名曲が揃っているのである。例えば、３曲目はどうだろう。ミュートを効かせたトランペットが哀愁のテーマを渋く聴かせる中、ズート・シムズを思わせるようなソプラノ・サックスが見事に絡みつく。展開に入ると、今度は、ソプラノ・サックスのソロが始まるが、それを後ろから、フィリー・ジョー・ジョーンズばりに煽る歯切れのいいエルムズのドラム。そして、重低音のベース。ベーシストのスティーヴ・ウォラスとエルムズは非常に相性がいいようで、このクインテットの形態を越えて、いろんなフォーマットで演奏をしているようだ。４曲目になるとその破壊力の凄まじさを否応なく見せつけられる。ベースの同音を連打し続けるのを聴いていると、パンク・ロックのエネルギーに通じるものも感じてしまう。７曲目のめくるめくリズムの変化。その変化に5人のミュージシャン全員が誰一人臆することなく見事に乗ってしまえるところにもこのクインテットの水準の高さが見てとれる。
リチャード・ホワイトマンの活躍も含め、今後の動きに目が離せないレーベルがカナダから出現したことに喜びを隠せない。

Barry Elmes(ds)
Mike Murley(sax)
Reg Schwager(g)
Kevin Turcotte(tp/flh)
Steve Wallace(b)

1.The New Shim Sham Shimmy
2.Isabel
3.Mouce House
4.The Five Minute Warning
5.Remember When
6.The Prosopagnosia Blues
7.The Jinx
8.Dizzy's Lesson
2001年5月録音
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