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JAZZ HEAD　072
「酒とバラの日々」の名旋律で幕を開けるこのアルバム。
ヨーロピアンなムードを湛えながらも、オーストラリア人らしい無骨なタッチがミスマッチを起こしていて、そこが面白い！
ピアニストは女性で、幼い頃からクラシックを勉強してきたというだけあって、書く曲は、ドビュッシーめいていたり、（3）出だしでは、シューマンのピアノ小曲かと思わせておきながら、展開の仕方は、バッハ的になったりもしてユニーク（9）。
中には、フリーを思わせる前衛的な曲も登場（7）。
ヨーロピアン・ピアノ・トリオ・ファンなら思わず唸るバラード（4）や、ちょっとモンク的で、斜めからスイングするような（8）など、いろんなタイプの曲が登場します。
しかし、どの曲をとってみても、ベーシストと60歳を超えたベテラン・ドラマーのツボを心得たプレーが、新しい才能である彼女を支え、また、彼女の何をしてもあまり悩みを見せないような、歯切れのいい、しっかりとしたピアノとうまく溶け合い、絶妙のインタープレイを生み出しているアルバムが本作です。
多くのファンには受け難いかもしれませんが、推薦できるアルバムです。
いろいろな音楽的要素を吸収できる今の時代が生み出した、｢個性」と言えるかもしれません。

Andrea Keller (piano)
Tamara Murphy (bass)
Allan Browne (drums)

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